AIが向くのは「正解が一つに決まらない」「例示で説明したほうが早い」作業です。それ以外は、従来の仕組みのほうが安く、速く、説明しやすいことがあります。
1. やりたいことを、作業の単位まで分解する
「AIで業務を効率化したい」のままでは判断できません。まず、現在その業務を人がどう進めているかを、手順の単位に分解します。分解すると、AIに向く手順と、そうでない手順が混ざっていることがほとんどです。仕分けは手順ごとに行います。
2. 正解が一つに決まるかどうかで分ける
手順ごとに、出力の正解が一つに決まるかを判定します。決まるものは条件分岐や計算、検索で処理できます。決まらないもの、つまり「だいたい合っていればよい」「書き方は複数あってよい」種類の作業が、AIの候補になります。ここを混同すると、確実に処理できたはずのものを不確実にしてしまいます。
3. ルール・検索で足りないかを先に確かめる
AIの候補に残った手順についても、まず単純な手段で試します。キーワードの一致、簡単な条件分岐、既存のツールの機能で、求める品質の何割が達成できるかを見ます。ここで十分なら、運用費も説明の手間もかからない方法を選べます。足りないと分かって初めて、AIを使う理由が言葉にできます。
4. 間違えたときに何が起きるかを書く
AIの出力は一定の割合で外れます。外れたときの影響が小さい用途から始めるのが原則です。影響が大きい用途は、人の確認を挟む形に設計し直すか、今回は見送ります。この判断を先にしておくと、後の設計で迷いません。
5. 使える材料が手元にあるかを確認する
AIの出力の質は、渡せる材料に大きく左右されます。社内に蓄積された文章や記録がどこにあり、機械が読める形になっているかを確認します。紙やスキャン画像しかない、担当者の頭の中にしかない、という場合は、材料を整えることが先の作業になります。
6. 効果を測る方法を先に決める
AIの導入は「使ってみた感想」で評価されがちです。作る前に、何が改善されれば成功と言えるかを決めます。時間短縮であれば現状の所要時間を先に測り、品質であれば現状のやり直し率を先に記録します。比較する元の数字がないと、後から効果を説明できません。
7. 仕分けの結果をまとめる
1〜6を踏まえて、手順ごとに扱いを決めます。全部をAIにする必要はありません。むしろ、通常のプログラムで処理する部分と、AIに任せる部分と、人が判断する部分が混ざった形が実務では多くなります。この表をそのまま開発の相談に持ち込めます。なお、AIを使う機能は利用量に応じた費用が継続して発生します。試算の方法は「AI機能のコスト試算シート」を参照してください。
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監修: フィリット・コンサルティング株式会社公開