自社で使うと不具合はよく見つかりますが、「初めて触った人がどこで迷うか」はほとんど分かりません。分かることと分からないことを、先に分けておきます。
1. 社内で使う目的を一つ決める
社内利用にはいくつかの目的があり、それによって進め方が変わります。不具合を見つけたいのか、業務の流れに無理がないかを確かめたいのか、社内の理解を深めたいのか。目的をはっきりさせないと、「一応使っている」だけで終わりがちです。今回の期間で何を得たいのかを一つ選び、残りは次の機会に回してください。目的が決まると、誰に使ってもらうか、何を記録するかも自然に決まります。
- 不具合を見つける: 実際の操作の中で壊れるところを洗い出す
- 業務の流れを確かめる: 日々の仕事の中で使い続けられるかを見る
- 社内の理解を深める: 営業や運営の担当者が自分の言葉で説明できるようにする
- 改善点を集める: 使いにくい箇所を具体的に言語化する
2. 使う人と業務を決める
「全社で使ってみよう」という呼びかけは、たいてい誰も使わないまま終わります。誰が、どの業務で、どれくらいの頻度で使うのかを具体的に決めてください。実際の業務の代わりに使うのが理想ですが、難しい場合は「毎週この会議の前に必ず使う」といった決まった場面を作ります。使う人には、これが仕事の一部であることを明示し、時間を確保してください。片手間では続きません。
- 使う人(名前と役割。3〜5人程度から始める)
- どの業務で使うか。今のやり方を置き換えるのか、並行するのか
- 頻度(毎日/週次/特定の場面のたび)
- 使う時間を業務時間として確保できているか
3. 記録の仕方を決める
気づいたことは、その場で記録しないと失われます。かといって、詳細な報告書を求めると誰も書かなくなります。一件あたり1分で書ける程度の簡単な形式を用意し、書く場所を一か所に決めてください。チャットの専用チャンネル、共有のスプレッドシート、既存の課題管理ツールのどれでも構いませんが、複数に散らばると集計できなくなります。
4. 社内利用では分からないことを認識する
社内の人は、サービスの作りを知っており、専門用語を理解しており、うまくいかなければ作った本人に聞けます。つまり、実際の利用者とは条件が大きく違います。この違いから、社内利用で見つけにくい問題があります。それが何かを先に書き出しておくと、「社内で問題なかったから大丈夫」という誤った安心を避けられます。
- 初めて触った人が、どこで手が止まるか
- 説明を読まずに使い始めた人が、何を誤解するか
- 自社の業務の進め方とは違う業務の人にとって、流れが自然か
- 自社の環境(端末、回線、権限)とは違う条件で動くか
- 料金や契約の説明が、外部の人に納得できるものか
5. 外部の検証と役割を分ける
社内利用で見つかること、外部の利用者に触ってもらって見つかること、数値の計測で見つかることは、それぞれ違います。どれか一つで済ませようとせず、役割を分けて組み合わせてください。順番としては、社内で明らかな不具合を潰してから外部に見てもらうほうが、外部の人の時間を無駄にせずに済みます。今どの段階にいるかを確かめ、社内利用だけで判断しようとしていないかを点検してください。
6. 週に一度、記録を見る場を作る
記録を貯めるだけでは改善につながりません。週に一度、30分程度で構わないので、集まった記録を見る場を作ってください。この場では、すべてに対応しようとせず、同じ内容が複数から出ているもの、作業が止まったものを優先します。対応しないと決めたものも、その判断を記録に残しておくと、後から同じ議論を繰り返さずに済みます。
- 集まった記録を、内容ごとにまとめる
- 作業が止まったものを最優先にする
- 複数の人から同じ指摘が出ているものを次に見る
- 今回は対応しないと決めたものと、その理由を残す
7. 期間の終わりにまとめる
ドッグフーディングは、期間を区切らないと惰性になります。数週間の期間を決め、終わりに何が分かったかをまとめてください。まとめでは、見つかった問題の一覧だけでなく、「使い続けられたか」という事実そのものが重要な手がかりになります。社内の人でさえ使い続けなかったのであれば、その理由は外部の利用者にも当てはまる可能性があります。
- 期間中に記録された件数と、そのうち対応したもの
- 使う予定だった人が、実際にどれくらい使い続けたか
- 使わなくなった人がいる場合、その理由
- 次の期間で見ることと、外部の検証に回すこと
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監修: フィリット・コンサルティング株式会社公開