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    UXリサーチの基本手法 — インタビュー・ユーザビリティテスト・分析

    ユーザーが本当に困っていることを知るための基本手法を整理します。インタビューの設計と誘導の避け方、ユーザビリティテストの観察、定量分析との組み合わせ、ペルソナの使い方、小規模チームでの現実的な進め方まで解説します。

    プロダクト6分で読めます

    この記事の結論

    • UXリサーチの目的は、チームの思い込みをユーザーの事実で置き換えることです
    • インタビューで「なぜ」を、テストで「どこでつまずくか」を、ログで「どれだけ」を知ります
    • 小規模でも継続的に行い、結果を意思決定の場に持ち込む仕組みが成果を左右します

    「ユーザーはこう使うはずだ」という前提で作った機能が、実際にはほとんど使われなかった。多くのプロダクトチームが経験することです。機能の良し悪し以前に、ユーザーが何に困り、どう行動しているのかを知らなかったことが原因である場合が少なくありません。

    本記事では、UXリサーチの基本手法としてユーザーインタビュー、ユーザビリティテスト、定量分析の3つを取り上げ、ペルソナの作り方、小規模チームでの進め方、結果を意思決定につなげる方法を整理します。

    UXリサーチの目的

    UXリサーチとは、ユーザーの行動・状況・困りごとを、思い込みではなく観察と対話にもとづいて理解する活動です。目的は「良い機能を思いつくこと」ではなく「チームの仮説をユーザーの事実で検証し、判断の根拠を作ること」です。

    始める前に、必ず「この調査で何を判断したいのか」を言葉にします。「登録の途中で離脱が多いのは、入力項目が多いからか、価値が伝わっていないからか」のように問いが決まっていれば、手法の選択も質問の設計も自然に決まります。問いが曖昧なままでは、興味深い話は集まっても結論が出ません。

    手法は、「なぜ」を知る定性的な手法(インタビュー、観察)と、「どれだけ」を知る定量的な手法(行動ログ、アンケート)に分かれ、問いに応じて使い分け、組み合わせます。

    ユーザーインタビューの設計と聞き方

    インタビューは、ユーザーの行動の背景や、言葉にされていない困りごとを知るための手法です。設計の要点は3つあります。

    1. 対象者の選び方:判断したい問いに関係する人を選びます。熱心に使っている人だけでなく、使い始めてやめた人や競合を使っている人からは、別の視点が得られます。
    2. 質問の作り方:意見や予測ではなく、過去の具体的な行動を尋ねます。「この機能があったら使いますか」ではなく「前回この作業をしたとき、実際にどう進めましたか」と聞きます。
    3. 進め方:台本どおりに進めず、答えに出てきた具体的な出来事を「そのとき何を見ていましたか」「次に何をしましたか」と行動の順に深掘りします。

    避けるべき誘導もあります。

    • 答えを含んだ質問:「使いにくいと感じませんでしたか」は、使いにくいという答えを引き出してしまいます。
    • 自社の考えの説明:作り手が先に意図を語ると、相手はそれに合わせて答えがちです。

    想定例:業務用の予約管理ツールについて、店舗スタッフにインタビューする場面を考えます。「新しいカレンダー表示は便利ですか」と聞く代わりに、「昨日、予約の変更があったとき、どの画面を開いて、どの順番で操作しましたか」と聞きます。すると、カレンダーを見る前に紙のメモで確認しているという画面の外の行動が分かり、そこに本当の課題があると気づけます。

    ユーザビリティテストのタスク設計と観察

    ユーザビリティテストは、実際にプロダクトを操作してもらい、どこでつまずくかを観察する手法です。インタビューが「語られたこと」を集めるのに対し、テストは「起きたこと」を集めます。

    タスクの設計では、機能の名前を使わず、ユーザーの目的の形で伝えます。「検索フィルターを使ってください」ではなく、「来週の土曜に空いている部屋を探してください」と伝えれば、フィルターの存在に気づけるかどうかも含めて観察できます。タスクは実際の利用場面にもとづいて作り、成功の条件を先に決めておきます。

    観察の際は、操作の手を止めて考え込んだ場所、戻るボタンを押した場所、口に出した独り言を記録します。つまずいても、すぐには助けず、どう回復しようとするかを見ます。終了後に「あの場面では何を探していましたか」と振り返ってもらうと、観察だけでは分からない意図が補えます。

    定量分析との組み合わせ

    インタビューやテストの気づきは深い一方、対象者が限られるため「全体でどれだけ起きているか」は分かりません。そこで行動ログとアンケートを組み合わせます。

    • 行動ログ:どの画面で利用者が離脱しているか、どの機能が実際に使われているかを操作の記録から把握します。定性調査で見つかったつまずきが全体でも起きているかを確かめる用途に向きます。
    • アンケート:定性調査で見えてきた仮説を、より多くの人に対して確かめるために使います。選択式の設問を組み合わせると、傾向を比較しやすくなります。

    順番としては、まずログで「どこに問題がありそうか」の当たりを付け、インタビューやテストで「なぜ起きているか」を掘り、アンケートやログで再び裏付ける往復が基本です。市場リサーチで得た市場全体の情報と重ねると、自社のユーザーの特徴も見えてきます。

    ペルソナの作り方と使い方

    ペルソナとは、調査から見えてきた代表的なユーザー像を一人の人物として描いたものです。目的は、チームの全員が同じユーザーを思い浮かべて議論できるようにすることです。

    要点は、想像ではなく調査結果から作ることです。インタビューで繰り返し現れた行動パターン、困りごと、判断の基準をまとめ、共通する特徴を持つ集団ごとに一人の人物像に落とし込みます。属性よりも「何を目的に、どんな状況で、何に困りながら使っているか」を中心に記述します。

    使い方としては、仕様の議論で「このペルソナならこの画面でどうするか」と問いかける道具にします。事業の段階が進めばユーザー層も変わるため、定期的に見直すことが前提です。

    小規模チームでの現実的な進め方と意思決定への接続

    専任のリサーチャーがいない小規模なチームでも、リサーチは続けられます。要点は大がかりに構えないことです。

    • 小さく頻繁に:一度に大人数を集めるより、少人数のインタビューやテストを定期的に繰り返すほうが、学びが早く積み上がります。
    • 既存の接点を使う:問い合わせ対応や営業の会話は、すでにあるリサーチの機会です。記録の形式を決めて共有するだけで資産になります。
    • 記録を整える:録音の文字起こしと要約には生成AIを活用できます。ただし、判断は人が行います。

    最も重要なのが、結果を意思決定に結びつけることです。調査が終わるたびに「分かったこと」「まだ分からないこと」「次に何を決めるか」の3点を短くまとめ、開発計画を議論する場に持ち込みます。個々の発言の引用ではなく、複数の対象者に共通した事実として整理すると、根拠として扱いやすくなります。

    想定例:家計管理アプリのチームが、新機能の候補として「レシート読み取り」と「予算アラート」で迷っているとします。利用をやめた人へのインタビューで「使い続ける意味を感じなくなった」という声が繰り返し出ていたなら、どちらの機能よりも、続ける動機を作る体験の設計を優先すべきだと判断できます。リサーチは選択肢そのものを問い直す材料にもなります。

    思い込みを、ユーザーの事実で置き換える

    UXリサーチは、インタビューで「なぜ」を、ユーザビリティテストで「どこでつまずくか」を、行動ログとアンケートで「どれだけ」を知り、往復させながら判断の根拠を作る活動です。ペルソナは調査結果を共有する道具であり、小規模チームでも小さく頻繁に続けることで機能します。

    どの手法から始めるべきか、あるいは調査の型づくりから支援が必要な場合は、お問い合わせからご相談ください。UXデザインの一環として、リサーチの設計から仕様への反映まで一緒に進めます。

    チェックリスト

    • リサーチで何を判断したいのか、問いを先に言葉にしている
    • インタビューの質問が過去の行動を尋ねる形になっている
    • ユーザビリティテストのタスクが、実際の利用場面にもとづいている
    • 定性的な気づきを、行動ログやアンケートで裏付けている
    • ペルソナが実際の調査結果から作られ、定期的に見直されている
    • リサーチの結果が次の開発計画や仕様に反映された記録がある

    よくあるご質問

    何人に聞けば十分ですか

    人数の目安は案件により大きく異なります。重要なのは人数よりも、同じ種類の気づきが繰り返し出てきて新しい発見が減ってきたかどうかです。少人数でも早く始め、必要に応じて追加するほうが、大人数を一度に集めるより効率的です。

    アンケートだけでは不十分ですか

    アンケートは「どれだけの人がそう答えたか」を知るのに向いていますが、「なぜそうなのか」は分かりません。行動の背景や困りごとの構造を知るにはインタビューや観察が必要で、両者を組み合わせることで判断の精度が上がります。

    専門のリサーチャーがいなくてもできますか

    できます。基本的な設計と、誘導しない聞き方の原則を押さえれば、プロダクト担当者やエンジニアが自ら行えます。最初は外部の支援を受けて型を作り、その後は内製で継続する進め方も現実的です。

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    監修: フィリット・コンサルティング株式会社公開

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