「これがあったら使いますか」と聞くと、ほとんどの人は使うと答えます。聞くべきは、これまでに何をしたかです。
1. 聞いてはいけない質問の型
聞き取りの失敗の多くは、質問の作り方に原因があります。将来の行動を尋ねる、こちらの案への意見を求める、答えを誘導する、といった質問は、相手が善意で答えるほど実態から離れていきます。相手は目の前にいる人を喜ばせようとしますし、自分が将来どう行動するかを正確に予測できる人はほとんどいません。以下の型を覚えて、当日その場で言い換えられるようにしておいてください。
2. 聞き取りの前に決めること
聞き取りは、時間をもらう以上、目的をはっきりさせてから臨みます。今回知りたいことを3つ以内に絞り、それが分かったかどうかを後で判定できる形にしておいてください。相手の選び方も重要です。自社の想定顧客に当てはまる人か、当てはまらないが近い人かで、答えの重みが変わります。紹介で集めた知人ばかりだと、好意的な答えに偏りやすい点にも注意してください。
- 今回知りたいこと(3つ以内。疑問文で書く)
- 話を聞く相手の条件(業種、役割、直近でその業務をしたか)
- 何人に聞くか。何人聞いたら判断するか
- 所要時間(30〜45分程度に収めると相手の負担が少ない)
- 記録の方法と、録音の可否を事前に確認したか
3. 最初の5分で聞くこと
いきなり本題に入らず、相手の状況を確認します。ここで相手の役割や日々の業務が分かると、後の答えをどう受け取るべきかが判断できます。また、この時間は相手が話しやすくなるための時間でもあります。こちらのサービスの説明は、この段階ではしません。説明してしまうと、以降の答えがすべてその案に引きずられます。まずは相手の日常を聞く時間だと考えてください。
- 普段どのようなお仕事をされていますか
- 一日の中で、その業務にはどれくらいの時間を使いますか
- その業務には、ほかにどなたが関わりますか
- 今日は、普段のやり方を教えていただければと思います(こちらの案は後で話す旨を伝える)
4. 過去の行動を掘る質問
聞き取りの中心は、相手が実際に取った行動です。最後にその作業をしたのはいつか、そのとき何をしたか、何に困ったか、どう対処したかを、順を追って聞いていきます。記憶が曖昧な相手には、直近の具体的な一件を思い出してもらうと答えやすくなります。答えが抽象的になったら、「そのときの具体的な話を聞かせてください」と戻してください。
- その作業を最後にしたのはいつですか
- そのとき、最初に何をして、次に何をしましたか
- その中で、うまくいかなかったことはありましたか
- そのとき、どう対処しましたか
- その対処に、どれくらい時間がかかりましたか
- 同じことは、どれくらいの頻度で起きますか
5. 困りごとの大きさを測る質問
困っていると答えたことが、すべて解決すべき問題とは限りません。本当に困っているなら、人は何らかの手を打っているはずです。すでに何かを試したか、お金や時間を使ったか、誰かに相談したかを聞くと、困りごとの大きさが見えてきます。何も手を打っていない場合、それは我慢できる程度の不便であり、新しい仕組みにお金を払う理由にはなりにくいと考えられます。
- その問題を解決するために、これまでに何か試しましたか
- 試したものがあれば、なぜ続かなかったのですか
- そのために、何かにお金を使ったことはありますか
- 社内の誰かに相談したことはありますか。どうなりましたか
- この問題は、あなたの評価や目標に関係しますか
6. 最後に案を見せるときの聞き方
こちらの案や試作を見せるのは、聞き取りの最後です。見せるときも、感想を求めるのではなく、行動を見てください。試作があるなら、説明せずに触ってもらい、どこで手が止まるかを観察します。「分かりますか」ではなく「これで何ができると思いますか」と聞くと、伝わり方が測れます。反応が薄いときに説明を足したくなりますが、そこを我慢すると本当のことが分かります。
- (説明せずに見せて)これは何をするものだと思いますか
- (触ってもらって)今、何をしようとしていますか
- これがあったら、さっき話していた作業のどこが変わりますか
- 変わらないとしたら、それはなぜですか
- もし試せるとしたら、いつ、どの業務で試しますか。そのために社内で必要な手続きはありますか
7. 記録と、複数人分のまとめ方
記録は、相手が言ったことをできるだけそのままの言葉で残します。「使いにくいと言っていた」ではなく、実際の発言を引用してください。解釈は別の欄に分けて書き、後から見返したときに事実と解釈を取り違えないようにします。複数人に聞いたら、同じことを言った人の数を数えてください。一人だけが強く言ったことと、多くの人が軽く触れたことは、重みが違います。人数が少ないうちは数字で語らず、「何人中何人がこう言った」という形で書くほうが正確です。
- 発言はそのままの言葉で残す(言い換えない)
- 解釈・仮説は別の欄に分けて書く
- 聞き取り後24時間以内にまとめる(記憶が薄れる前に)
- 複数人分を並べ、同じ内容がいくつあったかを数える
- 想定と違った答えを、消さずに残す
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監修: フィリット・コンサルティング株式会社公開