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    AI開発会社の種類と頼めること

    「AI開発会社」と一括りにされる企業は、実際にはモデルを作る会社、基盤を作る会社、アプリに組み込む会社という別の業種に分かれます。それぞれが何を引き受け何を引き受けないのかを、発注側の判断材料として整理します。

    AI活用6分で読めます

    この記事の結論

    • AI開発会社は三層に分かれ、層が違えば別の業種だと考えるほうが正確です
    • 大半の事業会社が必要とするのは、既製のAIを業務に組み込む三層目です
    • 自社がどの層を必要としているかは、扱うデータと求める精度から逆算できます

    「AI開発会社に相談したい」という言葉は、実務では曖昧です。同じ看板を掲げていても、引き受ける仕事も、必要な技能も、費用の桁も違う会社が並んでいます。この違いを知らないまま比較すると、提案の内容が噛み合わず、判断ができません。

    本記事では、AIに関わる開発会社を三つの層に分けて構造で整理します。発注する側が、自社の要件がどの層に当たるのかを見分けられるようになることが目的です。

    三つの層に分かれている

    AIに関わる開発は、大きく三つの層に分かれます。それぞれ別の業種だと考えたほうが実態に近いものです。

    第一層:モデルそのものを作る。 大規模言語モデルや画像生成モデルを、大量のデータから学習させて作る領域です。研究者が中心で、計算資源に大きな投資を要します。世界的にも担い手は限られています。自社で新しいモデルを学習させる、既存のモデルを自社のデータで大きく作り変える、といった要件はこの層です。

    第二層:AIを扱う基盤を作る。 モデルを業務で使えるようにするための土台を作る領域です。社内文書を検索してモデルに渡す仕組み、複数のモデルを切り替える仕組み、出力の品質を継続的に測る仕組みなどが該当します。汎用の製品として提供されることもあれば、個別に構築されることもあります。データ量や利用者数が大きく、既製の基盤製品では要件を満たせない場合にこの層が必要になります。

    第三層:AIを組み込んだアプリケーションを作る。 既にあるAIサービスをAPI経由で呼び出し、業務やプロダクトに組み込む領域です。どの画面でAIを呼ぶか、何を渡して何を返すか、結果を誰がどう確認するか、費用が膨らまないようにどう制限するかを設計し、動くシステムとして仕上げます。Webシステム開発の一分野といえます。

    第一層第二層第三層
    作るものモデル基盤・仕組み業務システム・プロダクト
    主な担い手研究開発組織基盤製品の提供者、大規模開発会社Webシステム開発会社
    必要になる場面既存モデルでは原理的に解けない規模や制約が既製品を超える既製のAIを業務に載せる
    費用の性質学習と計算資源への投資構築と維持開発費と利用量に応じた従量費

    弊社はこの第三層に位置します。既存のAIサービスを組み込んだWebシステムやプロダクトを作る会社であり、モデルを学習させる研究開発や、AI基盤そのものの構築を本業とはしていません。この点はAI活用開発のページにも「独自の機械学習モデルをゼロから学習させる研究開発が中心の案件」は向かないと明記しています。

    なぜ層を混同すると噛み合わないのか

    層の違いを意識しないまま複数社に声をかけると、返ってくる提案の粒度がまったく揃いません。ある会社は数か月の検証計画を出し、別の会社は数週間の実装計画を出す。同じ課題に対する提案なのに、比較のしようがない状態になります。

    これは、それぞれが自社の得意な層で課題を解釈しているためです。第一層に強い会社は「そのデータならモデルを調整する価値がある」と考え、第三層の会社は「既製のAPIで足りる範囲かどうか」から考えます。どちらも誠実な提案ですが、前提が違います。

    発注側にとって重要なのは、どちらが正しいかではなく、自社の要件が本当にどの層を必要としているかです。ここを曖昧にしたまま進めると、必要のない規模の投資をするか、逆に足りない前提で着手して行き詰まるかのどちらかになります。

    自社の要件がどの層かを見分ける

    判断は、次の順に問いを立てると整理できます。上から順に「はい」なら下の層で足りる、という構造です。

    その業務は、公開されているAIサービスをそのまま使って試せるか。 試せるなら、まず試してください。ここで要件が満たせるなら、開発すら不要かもしれません。この見極めはAIツール導入と自社開発の分かれ目で詳しく扱っています。

    試した結果、足りないのは「業務への当てはめ」か「AIの能力そのもの」か。 「毎回コピーして貼り付けるのが手間」「結果を台帳に残したい」「担当者ごとに使い方がばらつく」といった不足は、業務への当てはめの問題です。これは第三層で解決します。

    AIの能力そのものが足りない場合、それは渡す情報が足りないためか。 社内の規程や過去のやり取りを渡せば正しく答えられるなら、必要なのは情報を渡す仕組みです。データ量が中規模までで、既製の検索機能や文書取り込み機能で足りるなら第三層の範囲に収まります。扱う文書が大量で、検索の精度自体を作り込む必要があるなら第二層です。

    渡す情報を工夫しても解けない場合。 業界特有の表現や、公開されていない専門知識が本質的に必要で、既存モデルでは原理的に届かない。ここで初めて第一層の検討に入ります。ただし、この結論に至る前に、上の三つを本当に試し尽くしたかを確認してください。実務では、多くの要件が第三層で解決します。

    想定例:ある企業が「自社専用のAIを作りたい」と考えた場面を考えます。社内の問い合わせ対応を自動化したいという要件でした。検討の初期にはモデルの調整が必要だと想定していましたが、実際に既製のサービスに社内規程を貼り付けて試したところ、回答の質は実用の範囲に入りました。残った課題は「毎回貼り付けるのが手間」「誰が何を聞いたか記録が残らない」という運用の問題で、これは第三層の開発で解決する内容でした。

    一社に全部を頼むべきか

    実務では、一つの案件に複数の層が混ざることがあります。その場合の進め方には二通りあります。

    層ごとに分ける。 第二層の基盤は既製の製品を契約し、第三層の組み込みを開発会社に頼む形です。責任の境界がはっきりし、後から片方だけ入れ替えることもできます。多くの場合、この形が現実的です。

    一社にまとめる。 窓口が一つで済み、層をまたぐ調整が不要になります。ただし、その会社が本業としていない層について、実質的に再委託になっているかどうかは確認してください。再委託そのものが問題なのではなく、問題が起きたときに誰が原因を特定できるかが重要です。

    いずれの場合も、提案を受けたときに確認すべき項目は共通しています。AI提案を受けたときの確認事項に質問の一覧をまとめました。この一覧は弊社への発注を検討する場合にもそのまま使えるように、中立な内容にしています。

    層を見極めてから会社を選ぶ

    AI開発会社を比較する前に、自社の要件がどの層に当たるかを先に決めてください。層が決まれば、候補となる会社の性質も、妥当な費用の桁も、必要な期間もおおよそ定まります。層を決めずに複数社から提案を集めると、比較ではなく印象の判断になります。

    弊社は第三層、つまり既存のAIサービスを組み込んだWebシステムとプロダクトの開発を担う会社です。第一層や第二層が必要な要件だと分かった場合には、その旨をお伝えします。どの層が必要かの見極めそのものからご相談いただくこともできますので、お問い合わせからご連絡ください。打ち合わせはオンラインで全国対応、ご相談・お見積りは無料です。

    なお、契約や委託の形態に関わる論点を含むため、一般的な情報として参考にしていただき、個別の事案は専門家にご確認ください。

    チェックリスト

    • 自社の要件がどの層に当たるか整理したか
    • 既製のAIサービスで満たせない要件を具体的に書き出したか
    • 候補の会社がどの層を本業にしているか確認したか
    • 一社で三層すべてを謳う提案の内訳を確認したか
    • モデルの精度と組み込みの品質を分けて評価しているか
    • 運用開始後に誰が何を保守するか合意したか

    よくあるご質問

    三層すべてを提供できると説明する会社は避けるべきですか?

    避けるべきとは限りませんが、内訳を確認してください。どの層を自社の要員で行い、どの層を再委託するのかを聞けば、その会社の本業がどこかは見えます。本業でない層について「できます」と答える会社より、「その層は専門外なので別の会社を紹介します」と答える会社のほうが、結果として進行は安定します。

    自社の要件がどの層か判断できない場合はどうしますか?

    まず既製のAIサービスをそのまま試してください。要件を満たせばその時点で終わりです。満たせない場合、何がどう足りなかったかが具体的に書けるようになり、それが層を判断する材料になります。試す前の机上の検討では、必要以上に大きな層を想定しがちです。

    モデルを作れる会社に頼めば、組み込みも高品質になりますか?

    別の技能です。モデルの性能と、それを業務に載せたときの使い勝手や運用のしやすさは、評価軸が異なります。研究開発に強い会社が業務システムの運用設計も得意とは限らず、その逆も同じです。必要な層を見極めてから選ぶほうが確実です。

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    監修: フィリット・コンサルティング株式会社公開

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