ライブやコンサートを企画する主催者が、来場者からの予約を受け付けて管理できるサービスを開発しました。主催者はイベントの登録から当日の受付までをスマートフォンだけで行え、来場者もSNSなどから届いたリンクを開いてそのまま予約できます。基本機能を無料で提供し、必要に応じて有料機能を選べるフリーミアム型で展開しており、小さな画面でも迷わず使える操作性を設計の中心に置いています。
- 会員登録を挟まない選択
- 来場者に新しいアプリの導入も会員登録も求めず、リンクを開いて必要事項を入力すれば完了する流れにしました。会員基盤を持てば再訪問の分析や再告知ができますが、その価値は一件あたりの予約完了率と引き換えです。一度きりの来場が多いイベントでは、登録を求めた時点で離脱が発生する側の損失が上回ると判断しました。
- 当日運用までを携帯に収める
- イベントの登録から当日の受付までを、主催者がスマートフォンだけで完結できる範囲に機能を切り分けました。会場にパソコンを持ち込む前提にすると、受付の場所が固定され、機材の準備も必要になります。管理画面をパソコン向けに作り込むより、携帯でできる範囲に機能を絞る方が現場に合う領域です。
- SNSでの共有を導線の出発点に置く
- 来場者はSNSなどで共有されたリンクを開いてそのまま予約できます。音楽イベントの集客は主催者や出演者の発信から始まるため、サービス内の検索や一覧から探させる設計は実際の流入と噛み合いません。どこから人が来るかを先に決めてから画面を組み立てています。
- 無料の範囲を機能ではなく規模で切る
- 基本的な予約管理は無料で使え、利用の規模が大きくなった段階で有料機能が必要になる構成にしました。機能単位で無料と有料を分けると、小規模な主催者が価値を実感する前に壁に当たります。規模で区切れば、利用者は事業の成長に合わせて自然に移行できます。
- 小さな画面での操作を最優先に据える
- 主催者側の管理画面も来場者側の予約画面も、小さな画面での操作を前提に設計しました。パソコン向けの画面を作ってから携帯に縮める順序では、情報量の多い一覧や複数列の入力欄が先に決まってしまい、後から削る作業になります。どの端末で使われるかを先に決めることが、画面の構成そのものを変えます。
この種のシステムで検討する論点(想定例)
以下は同種の案件で一般的に検討する内容の整理であり、上記事例の詳細を示すものではありません。
フリーミアムの無料範囲をどう決めるか
無料で使える範囲は、利用者が価値を実感できる程度に広く、しかし事業が成り立つ程度に絞る必要があります。規模の小さいイベントであれば無料で十分に運営でき、来場者数や開催頻度が増えた段階で有料機能が必要になる、という線引きにすると、利用者は成長に合わせて自然に有料へ移行します。線引きは一度で決まるものではないため、機能ごとの有効・無効を設定で切り替えられる構造にしておき、利用データを見ながら調整する前提で設計します。
予約サービスで最初に固めるべき業務ルール
予約系のプロダクトでは、画面よりも先に定員、キャンセル、当日の受付方法、主催者への通知といった運用ルールを決める必要があります。キャンセル待ちを設けるか、締切後の変更を許すかどうかは主催者ごとに方針が異なるため、初期は最も一般的な方針を既定値として実装し、要望が集まった項目から設定項目として開放していく進め方があります。ルールを曖昧なまま作り始めると、後から画面の作り直しが発生しやすく、小さなチームには大きな負担になります。
使った技術・扱った領域
- モバイルファースト
- フリーミアム
- 予約管理
関連するサービス
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関連するインサイト
- フリーミアムモデルの設計 — 無料と有料の境界線をどう引くかフリーミアムは無料枠の設計で成否が分かれます。無料枠の役割、境界線の引き方の型、有料化の動機付け、LTVとCACの観点、無料ユーザーのコスト管理までを整理し、自社に合う境界線を考えるための判断軸を示します。
- モバイルファーストUXの設計原則 — スマホ完結型サービスの作り方1画面1目的、親指の届く範囲、入力削減、通信への配慮というモバイルファーストの原則と、登録・本人確認・決済・通知をスマホだけで完結させる設計、Webとネイティブアプリの使い分け、検証とアクセシビリティの考え方を解説します。
- PMFをどう見極めるか — 指標と判断の考え方PMFの定義と、継続率やチャーンなどの定量シグナル、利用者の声に表れる定性シグナルの読み方、PMF前に投資してはいけないもの、誤認しやすいパターン、PMF後に変わる開発の優先順位を整理します。
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監修: フィリット・コンサルティング株式会社公開