調査で見られているのは、技術が優れているかどうかより、自社が自社のシステムを把握しているかどうかです。
調査で見られていること
技術面の調査は、粗探しではなく、投資や買収の判断に必要なリスクを洗い出す作業です。問題が見つかること自体が致命的とは限らず、把握していて対処の方針を持っているかが評価されます。逆に、把握していない領域があると、その周辺すべてが不確実と見なされます。この資料では、把握の状態を自己点検します。
1. 事前に用意しておく資料
調査が始まってから作り始めると、事業の手が止まります。以下は、平時から更新しておくと負担が小さい資料です。分量は多くなくて構いません。最新であることのほうが重要です。
2. 権利関係の確認
この領域は、調査で指摘されると解決に時間がかかり、条件に影響しやすい部分です。関係者が退職・契約終了している場合、遡っての整理がさらに難しくなるため、早めの確認をおすすめします。
3. 人への依存の説明
小さなチームで一人に集中していること自体は、この規模では自然なことです。問題になるのは、その事実を把握していない場合と、離脱したときの備えがない場合です。正直に現状を示し、備えの計画を添えるほうが評価されます。
4. データと個人情報の扱い
取り扱う情報の性質によって、求められる説明の深さは変わります。医療、金融、子どもに関する情報などを扱う場合は、該当する規制への対応状況も併せて確認されます。まずは、自社がどの情報をどこに持っているかを正確に言える状態を作ります。
5. 品質と運用の状態
完璧な状態は求められていません。壊れやすい箇所を把握しているか、壊れたときに気づける仕組みがあるかが確認されます。監視や自動テストは、全体を網羅するのではなく、止まると事業に影響する箇所から用意されているかを見ます。
6. 質問への答え方
調査では、その場で答えられない質問が出るものです。推測で答えたり、実態より良く見せたりすると、後の確認で食い違いが生じ、信頼を損ないます。分からないことは分からないと伝え、いつまでに確認するかを添えるのが基本です。
7. 指摘を受けた後の進め方
調査の結果として、改善項目が条件に付くことがあります。すべてを同時に対応しようとすると事業が止まるため、期限が定められているもの、事業の継続に関わるもの、それ以外の3つに分けて順番を決めます。対応状況を定期的に共有すると、関係が安定します。
ご注意
この資料は一般的な情報をまとめたものであり、実際の調査で確認される項目は、投資家や買い手、業種、取り扱う情報の性質によって異なります。契約、個人情報の取り扱い、業界ごとの規制に関わる判断は、個別の事案ごとに弁護士や各分野の専門家にご確認ください。
関連するインサイト
- スタートアップのセキュリティと個人情報保護 — 最低限の実務スタートアップが最低限押さえたいセキュリティと個人情報保護の実務を、アカウント管理や秘密情報の扱い、個人情報の取得と削除、CI/CDへの検査組み込み、インシデント初動、生成AI利用の注意まで整理します。
- 技術的負債との付き合い方 — 返済の優先順位を決める技術的負債はゼロにするものではなく、管理するものです。意図的な負債と無自覚の負債の違い、負債の可視化、事業インパクトと変更頻度による優先順位の付け方、開発計画への組み込み方を経営者向けに整理します。
- 資金調達フェーズ別に見る、開発パートナーとの関わり方プレシード・シード・シリーズA・シリーズB以降の各フェーズで検証すべきこと、開発体制、契約形態、避けたい失敗を整理し、外部の開発パートナーとどう関わるかを段階ごとに解説します。
関連するサービス
監修: フィリット・コンサルティング株式会社公開