住宅・不動産の店舗への来店予約を受け付け、社内で使われている外部のグループウェアの予定と双方向に同期する予約管理システムを開発しました。店舗の一覧、日付と時間枠ごとの空き状況の検索、予約の確定に加え、接客を担当する社員を自動で割り当てるAPIを実装しています。割り当ては担当者の区分、受付可能な件数、店舗をまたぐ応援といった業務上の制約を組み合わせて判定し、その判断基準はコードとは別に業務ロジックの仕様書として文書化しました。LaravelとReact、TypeScriptで構築し、API定義はOpenAPIとして自動公開。ストレージやメール送信を含む一連の動作は、MailpitとLocalStackで手元だけで検証できます。
- 業務ルールを仕様書として独立させる
- 担当者の区分、受付可能な件数、応援の可否といった割り当ての基準を、実装から切り離した文書として保ち、基準が変わったときに文書と実装のずれを確認できるようにしました。
- グループウェアとの双方向同期
- 予約の確定や変更を社内の予定表へ反映し、逆に予定表側の休暇や会議も空き判定に取り込むことで、二重入力のない運用を実現しています。
- 外部サービスを手元で再現できる開発環境
- ストレージやメール送信を模擬する仕組みを開発環境に組み込み、本物の顧客に誤ってメールが届く事故を防ぎながら、一連の流れを素早く検証できます。
- 常に最新のAPI仕様を共有
- API定義を自動で公開する仕組みにより、フロント開発者や連携先が古い仕様を参照する事故を防ぎ、並行開発の摩擦を減らしています。
- 複数の制約を組み合わせて割り当て
- 担当者の区分、受付可能な件数、店舗をまたぐ応援といった条件を組み合わせて、接客担当を判定するAPIとして実装しました。空き枠の検索とは別の責務として分けています。
この種のシステムで検討する論点(想定例)
以下は同種の案件で一般的に検討する内容の整理であり、上記事例の詳細を示すものではありません。
自動化の対象を「判断」と「作業」に分ける
担当者の割り当てのような業務は、単純な作業のように見えて、実際には現場の責任者が経験で下している判断を多く含みます。通常時のルールだけでなく、担当できる人が休みの日、受付の枠を使い切った月、要件に合う社員がその店舗にいない場合などにどうするかを責任者と一緒に洗い出し、機械に任せる範囲と人に戻す範囲を線引きしてから設計に入ります。判断の全自動化を急ぐより、例外を人が処理しやすい画面を用意する方が、現場の受け入れと事業効果の両面で確実です。
既存ツールとの共存を前提にした設計
社内にすでにグループウェアが根付いている場合、予約システムに予定の管理まで移すのは現場の反発を招きやすく、定着しません。来店の枠は予約システムだけが編集でき、社員の休みや会議の予定はグループウェア側だけが編集できる、という具合にデータごとに持ち主を一つに定め、もう一方からは読み取るだけにします。こうすれば既存の業務習慣を壊さずに新しい仕組みを導入できます。連携先が止まっている間に受付を続けるかどうかも、店舗運営への影響を考えて事前に決めておきます。
関連するサービス
関連するインサイト
- 外部API連携の設計と運用 — 認証・レート制限・仕様変更への備え決済・地図・メッセージ配信など外部APIとの連携は、つなぐだけでは終わりません。認証方式の考え方、レート制限とリトライ、冪等性、仕様変更や障害への備え、ログと監視、利用規約の確認まで、運用を見据えた設計の要点を整理します。
- アジャイル開発と契約 — 準委任で進める場合の合意事項アジャイル開発と請負契約の相性、準委任契約で進める理由、目的とスコープ・体制・検収・変更・知的財産権・中途終了など事前に合意すべき事項と発注側の責務を、発注者の視点で整理します。
- UXリサーチの基本手法 — インタビュー・ユーザビリティテスト・分析ユーザーが本当に困っていることを知るための基本手法を整理します。インタビューの設計と誘導の避け方、ユーザビリティテストの観察、定量分析との組み合わせ、ペルソナの使い方、小規模チームでの現実的な進め方まで解説します。
他の開発事例
監修: フィリット・コンサルティング株式会社公開